カワネズミです。
体長は10センチほど。名前にネズミとつきますが、実はモグラの仲間。地上から水中へと進出した“水中モグラ”です。
カワネズミは日本各地の渓流に生息していますが、長年通い続けるベテランの釣り人ですらほとんど見たことがないという、謎に満ちた動物です。
今回、研究者とともに、富士山を間近に望む川でカワネズミに長期間密着。驚きの暮らしぶりを撮影することに成功しました。
カワネズミは激しい流れをものともせずに水中を泳ぎ回り、滝さえよじ登って獲物を探し求めます。
ひとたび魚を見つければ鋭い牙でガブリ。相手がどれだけ暴れても決して離しません。
相手の動きが弱くなった瞬間、一気に岸辺まで引き上げます。
その狩りの様子は、まるで水中の格闘技です。狩りを数時間おきに繰り返し、魚を食べ続けるカワネズミ。これほど大食漢なのは、モグラの仲間であることの宿命でもあります。
モグラの仲間は体が小さい上に脂肪が少ないため、体の熱が奪われやすいのです。半日食事ができないだけで死んでしまうこともあります。
特にカワネズミがすむ水中は、地上に比べ過酷な環境です。狩りの技を磨き上げることで、水中という未知の世界に進出し、たくましく生き抜いてきたカワネズミ。その豪快な生きざまを、美しい渓流で追います。
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