2010年10月9日土曜日

NHKスペシャル「狙われた国債~ギリシャ発・世界への衝撃~」!


NHKスペシャル「狙われた国債~ギリシャ発・世界への衝撃~」!


NHKスペシャル 「狙われた国債~ギリシャ発・世界への衝撃~」を観ました。


2008年のリーマン・ショック以降、アイスランド危機、ドバイ危機が起こりました。


それらは、リーマン・ショックで投機マネーが一斉に引き上げた結果です。


今年に入ってのギリシャ危機は、昨年10月の政権交代後に政府が発表した財政赤字の対GDP比が異常に大きく、国としての信用を落とし、国債発行等資金調達の道を閉ざし、5月19日に償還する10年物国債の償還が出来ないという事態に陥ったことによるものです。


今、世界のマネーは、リーマン・ショック以降、その行き場を探し、リスクをいち早く察知し、引き上げ、よりましな投資先に移動します。


そしてその行き場所は今や国債にまで及び、しかも国債向けのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)も存在し、国債が償還されないというリスクに備え、保証料を支払うことで担保できるようになっており、CDSがヘッジファンドを中心に取り引きされております。


従って、CDSの料率が高ければその国の国債はリスクが高いことになるということになり、CDSが安い内に買い、CDSが高くなった時に売れば、それでヘッジファンドは利益を得ることが出来ます。


また、ギリシャが1990年代末、EUに加盟するに際し、加盟条件を満たすために、財政赤字を圧縮する為にゴールドマン・サックスの助けを借りていたことも知りました。


恐ろしいことです。


小国であれば、その資金繰りの為に、民間の投資銀行を利用するのです。


国も企業も資金繰りが行き詰れば、わらをもすがる思いでお金に飛びつくと言うことです。


今回のギリシャ危機に対して、EU加盟国はそれぞれ負担をしました。


第二、第三のギリシャが出てこない訳がありません。


ポルトガル、スペインが危ないとされています。そういう国からEUにほころびが生じ、ユーロ危機に発展しないという保証は何もありません。
今ほど国家財政運営の手腕が問われている時はありません。



今回この番組でヘッジファンドが゙いかにギリシャ国債を追い詰めたかを放映していたが、手段はギリシャ国債の空売りとCDSの購入だった。
 国債の空売りは国債価格を低下させるためのヘッジファンドの常套手段で過去に何回も例があり特に驚かなかったが、同時にCDSを大量に購入していたのには驚いた。
CDSとは一種の保証で、投資家がギリシャ国債を購入した場合、万一ギリシャ国債がデフォルトになった時を想定して、金融機関等に保証を依頼するものである。

注)たとえば国債利回りが8%でCDSが3%とすると、国債購入者は5%の利回りを得、残りの3%は保証銀行が得ることになる。

実際にギリシャ国債がデフォルトになって投資家に元金や利息が支払われなくなると投資家は金融機関からその契約内容にしたがって弁済を受ける。
CDSの価格は、国債の信用が高い場合は低く、反対に信用が低い場合は高く、そして株式と同じように日々価格が変動している。

注)CDSの取引は正式な市場があるわけでなく、相対で取引される閉じられた世界。
 ヘッジファンドはこの低い時に大量にCDSを購入し、ギリシャ危機が発生した段階で高額で売り抜けた。
一方でギリシャ国債の空売りも行ない意図的にギリシャ国債の崩壊を誘っている。
うまくギリシャ国債が崩壊してくれればヘッジファンドは空売りとCDSでぼろもうけができ、実際にその通りになった。

リーマンショックでほとんどのヘッジファンドが崩壊したと思われたが、その後の各国の超金融緩和で大量の資金がヘッジファンドに流れ込み、よみがえったヘッジファンドが今度はその資金を使用して弱い国債を狙い撃ちにしている。

注)たとえば日本では指標金利が0.1%なので、金融機関はこの金利で日銀等から資金を調達し、ヘッジファンドに1%程度で融資しても鞘を抜くことができる。
現実問題として企業には設備投資の資金需要がないので、こうした資金はほとんどヘッジファンド等の投機資金に回っていると見ていい。

ドイツのメルケル首相が、ヘッジファンドを目の敵にし、国債の空売りの規制やCDSの取引の禁止、そして何よりもヘッジファンドのためと言っていいような金融緩和に反対して緊縮財政を舵を切ったのも、ギリシャ危機のような国家危機を収束する手段はそれ以外にないからだ。
 緊縮財政をユーロがとれば経済成長は大幅に減速するが、一方そうしなければ国家が破産する。
経済成長か、国家破産かを迫られユーロは経済成長を諦めた

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