“チャイナショック”“米国の利上げ観測”――。日本株を取り巻く外部環境は揺れに揺れている。日経平均株価は低迷したままで市場関係者からはため息が漏れる。だが、悲観ばかりではない。こんなときこそ、“筋肉質”企業を見つけて賢く投資したい。
ではどうすればいいのか。マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「外国人投資家の目線にならうといい」とアドバイスする。
「現在のROE(※1)の水準ではなく、予想ROEが今後改善しそうな銘柄を探すのがいいでしょう」
カブドットコム証券・投資ストラテジストの河合達憲氏も、「毎年利益を出し続け、年々成長できるかどうかが企業の使命」と話す。
「例えばバブル期に過去最高益をたたき出したものの、何年もそれを超えられないようでは外部環境の恩恵を受けただけ、となってしまう。それでは、その時代その時代に合わせた経営は失敗とも言えます。やはり経営者には、過去の最高益を超えていけるかどうかにこだわりを持ってほしい。それが実現できれば、ROEなどの指標は後からついてくるものです」
その観点で河合氏は、株式指数「JPX日経インデックス400」に採用される銘柄のうち、3期連続で経常利益が増益の企業をスクリーニング。そのなかから、外国人観光客(インバウンド)の需要や環太平洋経済連携協定(TPP)といったテーマ性のある企業や、業績の変化が期待できる企業、円安などの外部環境にも対応し経営手腕を発揮している企業など、プラスの要素を持つ銘柄を選んでもらった。
例えば、「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは13期連続で過去最高益を更新する見通しで、増収増益を続けている。さらに、前期は2円増配し、今期も13円増配する方針だ。MonotaROも6期連続で過去最高益を更新する見通しで、1対2の株式分割、4円の増配も実施と、株主還元に力を入れている。
M&Aに力を入れているのはALSOKだ。昨年、介護サービス会社を買収し、主力のセキュリティー事業だけでなく、新たに介護事業の拡大にも力を入れている。業績も好調そのもので、6期連続増収、7期連続増益、3期連続で過去最高益を更新する見通しだ。17年度までの中期経営計画でROEは10%程度、配当性向で3割を目標に掲げている。
コーセーやピジョン、エイチ・アイ・エスなどは高成長を続けているだけでなく、インバウンドというテーマ性もあわせ持っている。
そして、河合氏が「高い経営手腕を発揮している」と評価しているのが、円高を追い風に“円高時代の勝ち組”と呼ばれたニトリホールディングスやエービーシー・マートだ。
「この2年ほどで、本来なら逆風となる円安が50%ほど進んだにもかかわらず、両社ともに過去最高益を更新しています。それは外部環境の変化に対応した経営者の手腕によるところが大きい」
また、岡三証券・シニアストラテジストの石黒英之氏も、IoT(モノのインターネット)など、市場として今後爆発的に拡大することが確実視されている電子部品などに注目しているという。
「今、150億台のデバイスがネットにつながっていると言われていますが、20年には500億台まで増えると見られています。すでに時計や眼鏡などの日常アイテムがネットにつながりつつありますが、今後は自動車や自動販売機、工場設置機器、医療機器などもネットにつながる時代が到来するのです」
この流れの恩恵を受けるのは、自動車や家電向けのモーターを製造する日本電産、世界トップのセラミックコンデンサーを持つ村田製作所などと石黒氏は見ている。
「また、ロボット業界や介護業界も市場の拡大が見込まれています」(石黒氏)
ROEはあくまでも経営の達成具合を見る際や投資判断の一つの目安でしかない。しかし、自社株買いや増配、M&A、設備投資などでROEを高めようと企業の意識が変わり、ROEは着実に株式市場に根付きつつある。約100兆円あると言われている上場企業の手元流動性資金。この巨大な“山”が今、動き始めた。
※1 自己資本利益率と呼ばれ、企業の自己資本に対してどれくらいのリターン(純利益)を生み出したかを見るもの。
ではどうすればいいのか。マネックス証券チーフ・ストラテジストの広木隆氏は「外国人投資家の目線にならうといい」とアドバイスする。
「現在のROE(※1)の水準ではなく、予想ROEが今後改善しそうな銘柄を探すのがいいでしょう」
カブドットコム証券・投資ストラテジストの河合達憲氏も、「毎年利益を出し続け、年々成長できるかどうかが企業の使命」と話す。
「例えばバブル期に過去最高益をたたき出したものの、何年もそれを超えられないようでは外部環境の恩恵を受けただけ、となってしまう。それでは、その時代その時代に合わせた経営は失敗とも言えます。やはり経営者には、過去の最高益を超えていけるかどうかにこだわりを持ってほしい。それが実現できれば、ROEなどの指標は後からついてくるものです」
その観点で河合氏は、株式指数「JPX日経インデックス400」に採用される銘柄のうち、3期連続で経常利益が増益の企業をスクリーニング。そのなかから、外国人観光客(インバウンド)の需要や環太平洋経済連携協定(TPP)といったテーマ性のある企業や、業績の変化が期待できる企業、円安などの外部環境にも対応し経営手腕を発揮している企業など、プラスの要素を持つ銘柄を選んでもらった。
例えば、「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイは13期連続で過去最高益を更新する見通しで、増収増益を続けている。さらに、前期は2円増配し、今期も13円増配する方針だ。MonotaROも6期連続で過去最高益を更新する見通しで、1対2の株式分割、4円の増配も実施と、株主還元に力を入れている。
M&Aに力を入れているのはALSOKだ。昨年、介護サービス会社を買収し、主力のセキュリティー事業だけでなく、新たに介護事業の拡大にも力を入れている。業績も好調そのもので、6期連続増収、7期連続増益、3期連続で過去最高益を更新する見通しだ。17年度までの中期経営計画でROEは10%程度、配当性向で3割を目標に掲げている。
コーセーやピジョン、エイチ・アイ・エスなどは高成長を続けているだけでなく、インバウンドというテーマ性もあわせ持っている。
そして、河合氏が「高い経営手腕を発揮している」と評価しているのが、円高を追い風に“円高時代の勝ち組”と呼ばれたニトリホールディングスやエービーシー・マートだ。
「この2年ほどで、本来なら逆風となる円安が50%ほど進んだにもかかわらず、両社ともに過去最高益を更新しています。それは外部環境の変化に対応した経営者の手腕によるところが大きい」
また、岡三証券・シニアストラテジストの石黒英之氏も、IoT(モノのインターネット)など、市場として今後爆発的に拡大することが確実視されている電子部品などに注目しているという。
「今、150億台のデバイスがネットにつながっていると言われていますが、20年には500億台まで増えると見られています。すでに時計や眼鏡などの日常アイテムがネットにつながりつつありますが、今後は自動車や自動販売機、工場設置機器、医療機器などもネットにつながる時代が到来するのです」
この流れの恩恵を受けるのは、自動車や家電向けのモーターを製造する日本電産、世界トップのセラミックコンデンサーを持つ村田製作所などと石黒氏は見ている。
「また、ロボット業界や介護業界も市場の拡大が見込まれています」(石黒氏)
ROEはあくまでも経営の達成具合を見る際や投資判断の一つの目安でしかない。しかし、自社株買いや増配、M&A、設備投資などでROEを高めようと企業の意識が変わり、ROEは着実に株式市場に根付きつつある。約100兆円あると言われている上場企業の手元流動性資金。この巨大な“山”が今、動き始めた。
※1 自己資本利益率と呼ばれ、企業の自己資本に対してどれくらいのリターン(純利益)を生み出したかを見るもの。
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