2017年7月19日水曜日

「俺のフレンチ」 なぜ原価率100%、200%のメニューが可能なのか?

「俺のフレンチ」 なぜ原価率100%、200%のメニューが可能なのか?





 世界的な戦略コンサルティング会社・ボストンコンサルティンググループの創業者のブルース・ヘンダーソンは「常識的な行動をとったりとらなかったりする企業は、常に合理的な行動しかとらない企業に対して優位に立つことができる」と語っていたものです。




 最近のビジネスの世界で襲い掛かってくる強い競争相手は、往々にして常識を捨て去るところから攻めてきます。誰もがビジネスのルールとはこういうものだと長年の商慣習にどっぷりとつかっているときに、非常識なビジネスアイデアを伴って参入してくるのがイノベーターというものです。




 アップルがiPhoneを始める前は、携帯電話はボタンを押して使うものだと誰もが思っていました。アプリをダウンロードして画面をタップして使うスマホの常識もiPhone登場以前は非常識なことでした。




 電車に乗るのには切符がいるという常識にとらわれているとSuicaの出現にびっくりすることになります。それも切符だと考えていたら大間違いで、鉄道会社の発行するSuicaが電子マネーとして金融決済手段の主流になるなんて金融機関の人は考えていなかったはずです。




 繰り返し言いましょう。ビジネスの世界では戦略的な競争相手は常識を超えたところから攻めてきます。




 しかし一方でビジネスの世界では常識は大切です。誰だって非常識なビジネスマンと仕事をするのは嫌なことです。だからほとんどのビジネスマンは常識の世界で頭を使うことに慣れているのです。




 ここに、普通のビジネスマンが戦略的思考の訓練をするのが苦手な最大の理由があります。普段は常識的に仕事を進めながら、戦略を考えるときだけ非常識に脳を使わなければならない。そんなことを言うと普通は「無理っ」と考えるのが常識です。




 結局のところ、普段の仕事の時間には常識的な思考力を使って、戦略を考えるときだけ非常識な思考ができるとベストなのですが、なかなか人間の脳はそういうふうには作動しないものです。だから日常の中で少しずつ常識を超えて戦略思考力を鍛える訓練をする必要があるのです。




 非常識な発想で成功した戦略家の話や、普段あまり考えたことのない世界の話。そういったものを題材にすることで、普段は常識的な読者の方も、このトレーニングをしている間だけは非常識に物事を考える訓練ができるはずですよ。




【問題】

 2012年のヒット商品番付にも登場した『俺のフレンチ』という飲食店チェーンがあります。超有名フランス料理店のシェフを口説いて料理長にすえて、驚くほどおいしい料理を驚くほど安く提供することで人気を呼びました。ビジネスモデルの秘密は高級フレンチなのに立ち席にすること。1日3.5回転と顧客の回転率を上げて収益を確保しています。さて、この『俺のフレンチ』のビジネスモデルにはもうひとつの秘密があります。メニューの中に原価率が100%や200%の料理が普通に存在しているのですが、なぜそんなことができるのでしょうか?




【ヒント】

原価率200%ということは食材の原価だけで2500円のコストがかかるメニューを1250円で提供しているということ。なぜそんなことができるのでしょうか?






答えは――


広告費の代わり




 大都市の繁華街で中規模以上の飲食店はおしなべて、ぐるなびやホットペッパーといった飲食店サイトに月50万~100万円程度の広告費を支払ってお得なクーポンや限定メニューなどを掲載することで集客努力をしています。『俺のフレンチ』では「同じ100万円の広告費を支払うならお客さんの胃袋に直接支払おう」というのが社長の考えだそうです。そこで原価ぎりぎりや原価割れメニューをたくさん提供しているのです。1000円の原価割れメニューを1000食提供してもかかるコストは同じ100万円。そしてその方が口コミでお店に行列ができる効果はただ広告を出すよりも大きいというのです。




 どうせ必要経費ならどこにつかうかをじっくり考えましょう。

2017年7月6日木曜日

上原浩治投手はなぜ三振が取れるのか?



ボストン地元紙が“問題提起”「なぜ142、3キロで打者が空振りするのか」




 地元紙「ボストン・グローブ」が、レッドソックス・”について分析している。




W杯の日程決定 仁志監督率いる侍ジャパンU-12代表は悲願の世界一に輝けるか(侍ジャパン応援特設サイトへ)




 同紙の名物記者、ニック・カファルド氏は上原について取り上げた記事の中で「なぜ打者がウエハラの88、89マイル(約142、143キロ)の直球で空振りするのか、今まで疑問だった」と“問題提起”。メジャーのクローザーとしてはかなり遅い部類に入る球速で、上原が強打者たちから空振りを量産する理由について言及している。




「ある分析家は、すべてが回転率の問題だと説明してくれた。メジャーリーグのピッチャーの速球回転率の平均は、1分間で約2200回。ウエハラは2700回だ。バッターは腰より上にボールが来たように見えるが、多くの場合、バットはボールの下で空を切る」




 カファルド氏はこのように説明。回転率が平均を大きく上回る上原の直球は伸びがあるため、バッターはボールの下を振ってしまうという。初速と終速の差が少なく、実際のスピードよりも速く見えるとされる右腕のボールは、やはり打者にとって厄介のようだ。







世界一の2013年に驚異の奪三振率を記録した上原




 落差のあるスプリットも大きな武器としている上原は、メジャーでの通算奪三振率(9イニング当たりで奪う三振数)10.6をマークしている。レッドソックスのワールドシリーズ制覇に大きく貢献した2013年には、自己最高の12.23を記録。その年、60イニング以上投げた投手の中では、メジャー全体で7位、ア・リーグでは3位の数字だった。




 今季はブレーブスからメジャー屈指のクローザー、クレイグ・キンブレルがトレードで加入したため、セットアッパーとして起用される予定となっている。ただ、FAとなっていた先発投手のデビッド・プライスを超大型契約で獲得するなど昨季最下位からの巻き返しを目指すレッドソックスにおいて、上原がキーマンの1人となることは間違いない。




 驚異の回転率を誇る直球で、メジャーの猛者から空振りを量産する投球に今季も期待したい。