映画監督が選んだオールタイム・ベスト100(2012年版) “Sight & Sound”誌より
1位:『東京物語』“Tokyo Story”(1953/日) 監督:小津安二郎
2位:『2001年宇宙の旅』“2001: A Space Odyssey”(1968/米・英) 監督:スタンリー・キューブリック
2位:『市民ケーン』“Citizen Kane”(1941/米) 監督:オーソン・ウェルズ
4位:『8 1/2』“8 1/2”(1963/伊) 監督:フェデリコ・フェリーニ
5位:『タクシー・ドライバー』“Taxi Driver”(1976/米) 監督:マーティン・スコセッシ
6位:『地獄の黙示録』“Apocalypse Now”(1979/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ
7位:『ゴッドファーザー』“The Godfather”(1972/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ
7位:『めまい』“Vertigo”(1958/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック
9位:『鏡』“Mirror”(1974/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー
10位:『自転車泥棒』“Bicycle Thieves”(1948/伊) 監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
11位:『勝手にしやがれ』“Breathless”(1960/仏) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
12位:『レイジング・ブル』“Raging Bull”(1980/米) 監督:マーティン・スコセッシ
13位:『仮面/ペルソナ』“Persona”(1966/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
13位:『大人は判ってくれない』“The 400 Blows”(1959/仏) 監督:フランソワ・トリュフォー
13位:『アンドレイ・ルブリョフ』“Andrei Rublev”(1966/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー
16位:『ファニーとアレクサンデル』“Fanny and Alexander”(1984/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
17位:『七人の侍』“Seven Samurai”(1954/日) 監督:黒澤明
18位:『羅生門』“Rashomon”(1950/日) 監督:黒澤明
19位:『バリー・リンドン』“Barry Lyndon”(1975/英・米) 監督:スタンリー・キューブリック
19位:『奇跡』“Ordet”(1955/ベルギー・デンマーク) 監督:カール・ドライヤー
21位:『バルタザールどこへ行く』“Au hasard Balthazar”(1966/仏・スウェーデン) 監督:ロベール・ブレッソン
22位:『モダン・タイムス』“Modern Times”(1936/米) 監督:チャーリー・チャップリン
22位:『アタラント号』“L’Atalante”(1934/仏) 監督:ジャン・ヴィゴ
22位:『サンライズ』“Sunrise: A Song of Two Humans”(1927/米) 監督:F・W・ムルナウ
22位:『ゲームの規則』“La Règle du jeu”(1939/仏) 監督:ジャン・ルノワール
26位:『黒い罠』“Touch Of Evil”(1958/米) 監督:オーソン・ウェルズ
26位:『狩人の夜』“The Night of the Hunter”(1955/米) 監督:チャールズ・ロートン
26位:『アルジェの戦い』“The Battle of Algiers”(1966/伊・アルジェリア) 監督:ジッロ・ポンテコルヴォ
26位:『道』“La Strada”(1954/伊) 監督:フェデリコ・フェリーニ
30位:『ストーカー』“Stalker”(1979/ソ連) 監督:アンドレイ・タルコフスキー
30位:『街の灯』“City Lights”(1931/米) 監督:チャーリー・チャップリン
30位:『情事』“L’avventura”(1960/伊) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
30位:『フェリーニのアマルコルド』“Amarcord”(1973/伊・仏) 監督:フェデリコ・フェリーニ
30位:『奇跡の丘』“The Gospel According to St Matthew”(1964/伊・仏) 監督:ピエロ・パオロ・パゾリーニ
30位:『ゴッドファーザー PartⅡ』“The Godfather Part II”(1974/米) 監督:フランシス・フォード・コッポラ
30位:『炎628』“Come And See”(1985/ソ連) 監督:エレム・クリモフ
37位:『クローズ・アップ』“Close-Up”(1990/イラン) 監督:アッバス・キアロスタミ
37位:『お熱いのがお好き』“Some Like It Hot”(1959/米) 監督:ビリー・ワイルダー
37位:『甘い生活』“La dolce vita”(1960/伊) 監督:フェデリコ・フェリーニ
37位:『裁かるゝジャンヌ』“The Passion of Joan of Arc”(1927/仏) 監督:カール・ドライヤー
37位:『プレイタイム』“Play Time”(1967/仏) 監督:ジャック・タチ
37位:『抵抗(レジスタンス)/死刑囚の手記より』“A Man Escaped”(1956/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
37位:『ビリディアナ』“Viridiana”(1961/西・メキシコ) 監督:ルイス・ブニュエル
44位:『ウエスタン』“Once Upon a Time in the West”(1968/伊・米) 監督:セルジオ・レオーネ
44位:『軽蔑』“Le Mépris”(1963/仏・伊・米) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
44位:『アパートの鍵貸します』“The Apartment”(1960/米) 監督:ビリー・ワイルダー
44位:『狼の時刻』“Hour of the Wolf”(1968/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
48位:『カッコーの巣の上で』“One Flew Over the Cuckoo's Nest”(1975/米) 監督:ミロス・フォアマン
48位:『捜索者』“The Searchers”(1956/米) 監督:ジョン・フォード
48位:『サイコ』“Psycho”(1960/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック
48位:『カメラを持った男』“Man with a Movie Camera”(1929/ソ連) 監督:ジガ・ヴェルトフ
48位:『SHOAH』“Shoah”(1985/仏) 監督:クロード・ランズマン
48位:『アラビアのロレンス』“Lawrence Of Arabia”(1962/英) 監督:デイヴィッド・リーン
48位:『太陽はひとりぼっち』“L'eclisse”(1962/伊・仏) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
48位:『スリ』“Pickpocket”(1959/仏) 監督:ロベール・ブレッソン
48位:『大地のうた』“Pather Panchali”(1955/印) 監督:サタジット・レイ
48位:『裏窓』“Rear Window”(1954/米) 監督:アルフレッド・ヒッチコック
48位:『グッドフェローズ』“Goodfellas”(1990/米) 監督:マーティン・スコセッシ
59位:『欲望』“Blow Up”(1966/英) 監督:ミケランジェロ・アントニオーニ
59位:『暗殺の森』“The Conformist”(1970/伊・仏・西独) 監督:ベルナルド・ベルトルッチ
59位:『アギーレ 神の怒り』“Aguirre, Wrath of God”(1972/西独) 監督:ヴェルナー・ヘルツォーク
59位:『ガートルード』“Gertrud”(1964/デンマーク) 監督:カール・ドライヤー
59位:『こわれゆく女』“A Woman Under the Influence”(1974/米) 監督:ジャン・カサヴェテス
59位:『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』“The Good, the Bad and the Ugly”(1966/伊・米) 監督:セルジオ・レオーネ
59位:『ブルー・ベルベット』“Blue Velvet”(1986/米) 監督:デイヴィッド・リンチ
59位:『大いなる幻影』“La Grande Illusion”(1937/仏) 監督:ジャン・ルノワール
67位:『地獄の逃避行』“Badlands”(1973/米) 監督:テレンス・マリック
67位:『ブレードランナー』“Blade Runner”(1982/米) 監督:リドリー・スコット
67位:『サンセット大通り』“Sunset Blvd.”(1950/米) 監督:ビリー・ワイルダー
67位:『雨月物語』“Ugetsu monogatari”(1953/日) 監督:溝口健二
67位:『雨に唄えば』“Singin'in the Rain”(1951/米) 監督:スタンリー・ドーネン & ジーン・ケリー
67位:『花様年華』“In the Mood for Love”(2000/香港) 監督:ウォン・カーウァイ
67位:『イタリア旅行』“Journey to Italy”(1954/伊) 監督:ロベルト・ロッセリーニ
67位:『女と男のいる舗道』“Vivre sa vie”(1962/仏) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
75位:『第七の封印』“The Seventh Seal”(1957/スウェーデン) 監督:イングマール・ベルイマン
75位:『隠された記憶』“Hidden”(2004/仏・オーストリア・伊・独) 監督:ミヒャエル・ハネケ
75位:『戦艦ポチョムキン』“Battleship Potemkin”(1925/ソ連) 監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン
75位:『M』“M”(1931/独) 監督:フリッツ・ラング
75位:『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』“There Will Be Blood”(2007/米) 監督:ポール・トーマス・アンダーソン
75位:『シャイニング』“The Shining”(1980/英) 監督:スタンリー・キューブリック
75位:『キートンの大列車追跡』“The General”(1926/米) 監督:バスター・キートン & クライド・ブラックマン
75位:『マルホランド・ドライブ』“Mulholland Dr.”(2001/米) 監督:デイヴィッド・リンチ
75位:『時計じかけのオレンジ』“A Clockwork Orange”(1971/米) 監督:スタンリー・キューブリック
75位:『不安と魂』“Fear Eats the Soul”(1974/西独) 監督:ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー
75位:『ケス』“Kes”(1969/英) 監督:ケン・ローチ
75位:『ハズバンズ』“Husbands”(1975/米) 監督:ジョン・カサヴェテス
75位:『ワイルドバンチ』“The Wild Bunch”(1969/米) 監督:サム・ペキンパー
75位:『ソドムの市』“Salo, or The 120 Days of Sodom”(1975/伊・仏) 監督:ピエル・パオロ・パゾリーニ
75位:『JAWS/ジョーズ』“Jaws”(1975/米) 監督:スティーヴン・スピルバーグ
75位:『忘れられた人々』“Los Olvidados”(1950/メキシコ) 監督:ルイス・ブニュエル
91位:『気狂いピエロ』“Pierrot le fou”(1965/仏・伊) 監督:ジャン=リュック・ゴダール
91位:『アンダルシアの犬』“Un chien andalou”(1928/仏) 監督:ルイス・ブニュエル
91位:『チャイナタウン』“Chinatown”(1974/米) 監督:ロマン・ポランスキー
91位:『ママと娼婦』“La Maman et la putain”(1973/仏) 監督:ジャン・ユスターシュ
91位:『美しき仕事』“Beau Travail”(1998/仏) 監督:クレール・ドゥニ
91位:『オープニング・ナイト』“Opening Night”(1977/米) 監督:ジョン・カサヴェテス
91位:『黄金狂時代』“The Gold Rush”(1925/米) 監督:チャーリー・チャップリン
91位:『新学期・操行ゼロ』“Zero de Conduite”(1933/仏) 監督:ジャン・ヴィゴ
91位:『ディア・ハンター』“The Deer Hunter”(1977/米) 監督:マイケル・チミノ
91位:『ラルジャン』“L' argent”(1983/仏・スイス) 監督:ロベール・ブレッソン
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映画批評家が選んだオールタイムベスト250と映画監督が選んだオールタイム・ベスト100とは、おおまかに言えば、重なっている作品の方が多いのですが、細かく見ていくといろいろ違いがあって―
映画批評家が選んだオールタイムベスト50(250でも同じ)に入っていて、映画監督が選んだオールタイム・ベストに入っていない作品は―
15位:『晩春』
35位:『メトロポリス』
35位:“Jeanne Dielman, 23 quai du Commerce 1080 Bruxelles”(ブリュッセル1080、コルメス3番街のジャンヌ・ディエルマン)
35位:『サタンタンゴ』
48位:『映画史』
50位:『ラ・ジュテ』
映画監督が選んだオールタイム・ベスト100に入っていて、映画批評家が選んだオールタイムベスト250に入っていない作品は―
30位:『奇跡の丘』
44位:『狼の時刻』
48位:『カッコーの巣の上で』
59位:『続・夕陽のガンマン/地獄の決斗』
59位:『ブルー・ベルベット』
75位:『ハズバンズ』
75位:『JAWS/ジョーズ』
91位:『オープニング・ナイト』
91位:『新学期・操行ゼロ』
91位:『ディア・ハンター』
そのほか、映画監督のランキングが高くて、映画批評家のランキングが低い作品は―
12位:『レイジング・ブル』 映画批評家:53位
19位:『バリー・リンドン』 映画批評家:59位
22位:『モダン・タイムス』 映画批評家:63位
30位:『炎628』 映画批評家:154位
44位:『アパートの鍵貸します』 映画批評家:127位
75位:『シャイニング』 映画批評家:154位
これらの違いは―
・映画批評家は、職業柄、自分の好みに関わりなく、古今東西の映画を、まんべんなく見なければならない
・一方、映画監督は、基本的には、必ずしもまんべんなく映画史を押さえている必要はなく、世界各国の映画に通じている必要もない
・映画監督になるに当たって、欧米の映画監督が学ぶべき一群の欧米映画というものがあるらしく(映画の教科書的な?)、主な欧米の映画監督を中心に行なわれているこのアンケートにおいて、特にそういった作品がアンケート結果に色濃く出やすい
・実作者ならではの、好みの監督や好み作品が確かに存在する
といったところからくるのではないかと考えられます。
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上位100作品の中に、3作品以上ランクインしている監督の作品は以下の通りです。
スタンリー・キューブリック
『2001年宇宙の旅』、『バリー・リンドン』、『シャイニング』、『時計じかけのオレンジ』
フェデリコ・フェリーニ
『8 1/2』、『道』、『フェリーニのアマルコルド』、『甘い生活』
ジャン=リュック・ゴダール
『勝手にしやがれ』、『軽蔑』、『女と男のいる舗道』、『気狂いピエロ』
イングマール・ベルイマン
『仮面/ペルソナ』、『ファニーとアレクサンデル』、『狼の時刻』、『第七の封印』
ロベール・ブレッソン
『バルタザールどこへ行く』、『抵抗(レジスタンス)/死刑囚の手記より』、『スリ』、『ラルジャン』
マーティン・スコセッシ
『タクシー・ドライバー』、『レイジング・ブル』、『グッドフェローズ』
フランシス・フォード・コッポラ
『地獄の黙示録』、『ゴッドファーザー』、『ゴッドファーザー PartⅡ』
アルフレッド・ヒッチコック
『めまい』、『サイコ』、『裏窓』
アンドレイ・タルコフスキー
『鏡』、『アンドレイ・ルブリョフ』、『ストーカー』
カール・ドライヤー
『奇跡』、『裁かるゝジャンヌ』、『ガートルード』
チャーリー・チャップリン
『モダン・タイムス』、『街の灯』、『黄金狂時代』
ミケランジェロ・アントニオーニ
『情事』『太陽はひとりぼっち』、『欲望』
ビリー・ワイルダー
『お熱いのがお好き』、『アパートの鍵貸します』、『サンセット大通り』
ルイス・ブニュエル
『ビリディアナ』、『忘れられた人々』、『アンダルシアの犬』
ジョン・カサヴェテス
『こわれゆく女』、『ハズバンズ』、『オープニング・ナイト』
これらだけで全体の半分、50作品あります。
これらが映画監督たちにとって、特に重要な15人の映画監督ということになるでしょうか。現役の監督は、わずかに3人です。
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