2012年7月16日月曜日

セル生産方式


セル生産方式

屋台生産方式 / cell production system / cell manufacturing system / cellular manufacturing system


 組み立て製造業において、1人~数人の作業員が部品の取り付けから組み立て、加工、検査までの全工程(1人が多工程)を担当する生産方式のこと。部品や工具をU字型などに配置したセルと呼ばれるライン(作業台、屋台)で作業を行う。
 大きなメリットとして、部品箱の入れ替えやセルでの作業員の作業順序を変えるだけで、生産品目(製品バリエーションなど)を容易に変更できることで、多品種少量生産への対応に優れていることがある。また、生産量の調整も、セル内人数の調整やセル数の増減によって対応しやすい。
 ライン生産(ロット生産)では、ライン上のどこかの工程の生産性や品質が低ければ、全体もそのボトルネック制約を受け、他工程の生産能力が無駄になる場合も考えられるが、セル生産ではあるセルが停止したり不良品を出しても、ほかのセルは独立して稼働しているので無駄は少ない。また、すべての仕事を担当者がスルーで受け持つ(丸持ち)ので、問題点や改善点が見えやすく、改善提案が多数期待できる。
 セル生産のデメリットとしては、1人が多工程を担当するので熟練するまでに時間がかかること、作業効率が作業者個人のやる気に依存するということなどが挙げられる。またデメリットとはいい切れないが、工員の長期雇用が前提となる。
 セル生産は、生産コンサルタントの山田日登志氏がトヨタ生産方式の「改善」「多能工」を進化させたもので、1992年にソニーの工場に導入されたのを皮切りに、エレクトロニクス製品の組み立て生産工程で採用されるようになった。当初は、比較的小型の製品に向いているとされていたが、その後工作機械や自動車などの分野でも導入が進み、アパレル分野ではセル生産方式のイージーオーダー縫製工場も登場している。
 セル生産が注目されるようになった背景には、「消費者ニーズの多様化」と「大量生産拠点の海外流出」などがあるだろう。1990年代以降、携帯電話やAV機器、パソコンなどの分野ではモデルチェンジが頻繁に行われるようになり、BTOCTOなどのビジネスモデルが登場し、多様化する消費者ニーズに即応する工場が求められるようになった。従来の大量生産は、短期化するプロダクトライフサイクルを持つ製品の生産には向かず、“生産単価の引き下げ戦略”を目指しても海外とコスト競争に勝ち抜くだけの生産性向上が求められる。そこで国内製造業は市場に近いというメリットを活かして、市場ニーズに合った製品をすばやく提供する体制を構築するため、セル生産に取り組んでいる。
 国内では特にキヤノンがセル生産方式を積極的に採用しており、熟練作業員に対する「マイスター称号制度」を確立するなどの取り組みを行っている。

0 件のコメント:

コメントを投稿