2013年2月11日月曜日

メイド イン ジャパン 驕りの代償


メイド イン ジャパン 驕りの代償
 








メイド イン ジャパン 驕りの代償 [単行本(ソフトカバー)]井上 久男 (著)



内容紹介
発売日: 2013/1/17
浮上するのか家電・自動車業界!

2013年1月放送予定の、テレビ放送60年記念ドラマ『メイドインジャパン』の原点がここに――。苦悩する家電・自動車業界の現状と裏側を、ドラマの取材協力者である経済ジャーナリストが先鋭に浮き彫りにする。企業、そして日本経済再生への道を探る渾身のノンフィクション。




本書は、経済記者、フリージャーナリストとして自動車、電機業界を専門としてきた著者の17年間にわたる現場取材に基づく内容である。著者の考えとしては、日本全体が「ものづくり」だけで生き残る時代ではないが、引き続き「ものづくり」を得意分野として付加価値を創出すべきだ、という点にある。しかし、昨今の状況にあるように、「ものづくり」は危機的な状況にある。  筆者は、ものづくりが危機的状況に陥った状況を、17年間の取材から明らかにしようとする。  第一章はパナソニック、第二章はシャープの不振の原因。第三章は、対象的に、日産の復活の理由。第四章以降は、エンジニアの海外への流出の危機、あるいは特徴的な中小企業の成功、トヨタの歴史を描き、最終的には今後の処方箋を語る。  特に第一章、第二章の記述は激烈ですら、ある。今だから明らかにできる取材の裏話が満載であるし、読者にとっては、ここまで経営者の個人的な失敗を語る必要があるのか、という疑問も生じるのではないだろうか。しかし、経営者の個人的非難と受け取られるのは、おそらく筆者の真意ではないだろう。「ものづくり」の危機的状況から脱するには、一回、とことん失敗の歴史を振り返る必要があると筆者は考え、そのため、あえてここまで明らかにしているのでは、ないだろうか。  実は第三章の日産の成功例と比較すると、この点が明確になる。比較すべき点は、つまるところ、「現場の意見の吸い上げ」と「人材の登用」である。危機的状況に至るケースでは、経営者を慮り、意見が言えなくなる。経営者の退任ルールも、幹部登用のルールもはっきりせず、オール与党になってしまう。次世代の人材の見つけ方、鍛え方もはっきりしない。この点に対し、日産をはじめ、成功例は、具体的な対処法を持っていた。  このポイントだけが、現状の根本原因であるかどうかは、異論もあるかもしれない。(本書でも、その他の原因を様々あげているが、読み手として最も印象に残ったのは上記の二点だった。)  しかし、少なくとも、本書のように具体的な過去の実例を積み上げ、議論していくことで、日本の「ものづくり」の力強い復活があると信じたい。

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